月に降る雨
でも病院に向かっている途中、
貴は急に方向転換をした。
「貴…?」
不安そうに そう呼ぶと、貴は そのまま あたしを見て、言った。
「…やっぱ、帰ろ?
…送ってくから」
「でも…」
「何 気にしてんの?」
「…」
「もしかして…
誰かに見られんのが、嫌…とか?」
「…」
俯く あたしに、貴は困ったような…悲しそうな顔で、溜息を吐いた。
「もし見つかる事が あったと しても……
もう絶対に手出し させない。
だから…、行こ」
「……。
……何で…」