月に降る雨




「…そ、そっか……笑」




…今までの貴は演技だったんだ って思ったら、一気に気が抜けてしまって、

あたしは笑いながら、泣きそうに なった。


貴が戻って来たんだって思うだけで、

すごく すごく、安心する。






「……よかったぁ」




思わず声に出して そう言うと、

貴は やっぱり少し、困ったような顔をして…

でも すぐに笑って、言った。






「…ほら、やっぱリアには俺が付いてないと…さ 笑」




「付いてないと…?」






「…ダメでしょ!」




「いやいや、そんな事ないし!」






「はぁ?マジか」




「…嘘です」






「…リアの馬鹿」




「もう、さっきから何回 馬鹿 言うのー?」






「だって、そうじゃん 笑」




そう言って、あたしの頭を こつんって、叩く。






「痛っ。


貴の馬鹿~」




やり返そうと思って手を伸ばしたら、

ひょいって かわして逃げるから、あたしは空振りした。


それを見て貴が笑って、あたしも笑って、

それから ずっと、2人で じゃれ合いながら、帰った。




貴と居る時間は、

さっきまでの恐怖感が嘘みたいに、楽しかった。





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