月に降る雨
そう思っていると、
坂城さんが驚いたような表情をして、言った。
「あれ?
いつもリアちゃんと一緒に深谷くんの お見舞いに来てた男の子、
彼氏じゃなかったの…?」
いつも一緒に お見舞いに来てた男の子って……
「…あ」
その時ふと思い付いた名前を口に出すより早く、
かず兄が坂城さんに向かって笑いながら言った。
「…ああ、残念ながら あの2人、
あれで付き合ってないんですよ 笑
吃驚でしょ?笑」
「そ、そうなんですよ!
それに そもそも彼氏自体 居なくて…」
慌てて かず兄の後に続いて そう付け加えると、
坂城さんは意外そうな顔になって続けた。
「そうなの?
それはホントに吃驚!笑
でも あの男の子とリアちゃん、お似合いだよ?
付き合っちゃえば?」
「…貴と、ですか…」
複雑な気持ちで呟いた時、
坂城さんは はたと腕時計に目を遣った。
「あ、ごめんなさい。
今度こそ私 行かなくちゃ!
それじゃあ、お大事に」
ぱたぱた と 走り去って行く坂城さんを見送って…
あたしは ふと疑問に思った事を、かず兄に投げ掛けてみる。
「そう言えばさぁ、貴は…?」