月に降る雨




「で、でも ちゃんと動けるし!」




あたしは説得力を増す為に、その場で手足を ばたばた してみた。


それを見て、貴は ようやく、微かに笑った。






「ぷっ 笑


…わーったよ」




そう言うと、あたしの頭を ぽんぽん って、撫でる。






「リアは何か あっても、

誰かに助けを求められるような性格じゃ、ないもんね 笑」




「…う、うん…?」




…思わず、目を逸らしてしまった…。


それくらい、貴の言う事は的を射ている。


それくらい、あたしと貴の性格が似てる って事でも あるんだろう けれど…。








「…でも、俺には、言えるでしょ?」




貴が、言った。




…うん、言える。


あたしは大きく頷いた。


何でかは、分からないけど…

貴には、言える。


口に出していなかった けれど、

あたしが深く頷いた所為か、貴には伝わったみたい だった。






「だから…、

何か あったら、とりあえず俺に言いなさいよ?


…つか、言え」




え、急に俺様に なりましたけど…。


でも これは きっと、

あたしの為を思って言ってくれてる言葉、…なんだよね。






「…はぁい」




そう思って、大人しく返事したのだけれど、

そんな あたしの返事が頼りなく聞こえたのか、

貴は また溜め息を吐きながら、言った。






「…ったく。


ほんとに分かってんのかね、君は…笑」




「はぁい、分かってまーす!」




今度は気合いを入れて しっかり返事したら、

貴は呆れたように、でも、小さく笑った。





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