月に降る雨




かず兄なら知ってるかも って思ったのに…、

期待に反して かず兄は曖昧に笑ってみせただけ、だった。






「……さぁ。


でも、此処には時々 来てくれてるんだよ?


リアとは時間かち合わないけど」




「そーなの?


此処には来てる って事は、

単に あたしに会いたくないだけ…?」




…だと したら、悲し過ぎる。


今までは一緒に来てくれてたのに、

急に姿 眩ましちゃって、

連絡しても返してくれないし。


病院自体 来てないなら、まだ納得できるけれど…、

病院には時々 来てる って言われたら、

めちゃくちゃショックなんですが……。






「…寂しいの?」




あたしが色々 考えてたら、

かず兄が あたしの顔を覗き込んでた。






「うん、寂しい…」




そう即答した あたしに、

かず兄は少し吃驚したみたい だった。




貴は かなり おしゃべり で、

普段は全然そんな事 思ってなかったのに、

でも喋ってくれる人が居ないと、寂しく感じる…。






「…ねぇ、

貴…元気は元気なんだよね??」




そんなに深く訊いたつもりじゃ なかったのに、

それを聞いて かず兄は笑ってた。






「そんな心配そうな顔しちゃって…

お前ら やっぱ、俺に内緒で付き合ってんじゃないの?笑」





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