月に降る雨




そう思いながら貴を見ていると、

貴は″ありがとう″って言った女の子に、

持っていたジュースを1本 渡して、言った。






「…はいよ。


それで よかった?」




女の子はジュースを受け取って、にこって 笑った。






「うん、ありがとう」






今まで気付かなかった けれど…、

貴は あそこに飲み物を買いに行ってたんだね。




でも だからと言って、あたしの不安が消える訳では、ない。


更に あたしが黙っていると、

貴が急に あたしの肩に手を置いて言った。






「あー、こいつ…″リア″って言って、俺の…


…妹、みたいなもん。




ほらリア、ちゃんと挨拶して!」




「…え?


あ、はい。


えと…

葉月リアです。


よろしく お願いします」




訳が分からないまま頭を下げると、

貴は楽しそうに笑って、言った。






「…んで、こちらは″藤崎 凛″さん。


…俺の″友達″ね」




「貴の、友達…」






「藤崎 凛です。


…よろしくね、リアちゃん」




眩しい位の笑顔で、彼女が言った。






「…今日たまたま病院 来たら藤崎さん居てさ、

さっきまで3人で話してたんだけど、

何か急に喉 渇いたって話に なって…笑


俺が飲み物 買いに行ってただけ」




貴も安心させる為なのか、笑顔で あたしの方を見て言った。






「そ、そうなんだ」




あたしも とりあえず、笑顔で そう答えた。


前もって打ち合わせ してた様子は ないし、

多分 貴の言う事は本当なんだろう…。


ここまでで かず兄が何も言わないのは気になる けれど、

違ってたら彼女も否定するだろうし…、

とりあえず一安心、なのかな…?





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