月に降る雨
「…えーと、みちるくんは甘いの でしたよねー?
今日は たくさん待ってて貰っちゃったし、
何でも好きなの、頼んじゃって下さい♪」
メニューを みちるくんの方に向けて広げながら、
みちるくんが気に しないように、軽い調子で そう言った。
「…ありがとう」
みちるくんは少し戸惑っているみたい だったけれど、
あたしと目が合うと、反射的なのか何なのか、にこって 笑った。
…うーん、この笑顔に安心して思わず ここまで連れて来ちゃったけれど…、
実は内心 嫌がってる なんて事、ないよね…?
みちるくんが いつでも あんまり にこにこ するから、
あたしは若干 不安に なった。
「…あのー、みちるくん。
嫌なら嫌って、はっきり言ってくださいね?笑」
そう笑いながら言ったら、
みちるくんは首を左右に ぶんぶん って、振った。
「ううん、全然 嫌じゃないよ!
むしろ、リアちゃんが声 掛けてくれて、嬉しかったよ」
…誰にでも言ってるんだろう けど…、
いちいち可愛い人だな…。笑
声は低いんだけど、
顔が女の子みたいな所為か、
何を喋っても、何を してても、可愛く見える。
これだけ可愛いと、さぞかしモテるんだろうなぁ…。
あたしは ふと、そんな事を思った。
…こういう女の子みたいな男の子が好き って子は、意外と多い気がする…。