月に降る雨




みちるくんが″学校に行ってない″って事に あんまり触れられたくなさそう だったから、

あたしは代わりに自分の事を いっぱい喋ろうって、思った。


しかも深刻な話に聴こえない方が良いと思ったから、

苛めの事とか、思い出すだけでも痛かったけれど、

出来るだけ軽く聴こえるように、笑って話した。




あたしの気持ちが伝わったのか、

みちるくんは一瞬 何か言いたそうな顔を したけれど、

すぐに また にこって、笑った。






「…そっか…」




でも そう言ったきり黙り込んでしまって、

あたしは その瞬間″失敗したー″って、後悔した。




…あたしの悪い癖…


″何か喋らなきゃ″と思って喋ってるうちに、余計な事まで喋っちゃって、

相手が返事に困る っていうパターンですよ、これは…。


…そりゃ、いきなり″苛めに遭ってた″とか言っちゃったら、

いくら軽く言ってみても、返答に困りますわな。


…反省、反省…。





< 68 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop