月に降る雨
「…元々、人混みとか、人が大勢 集まる所が、
駄目だったんだ」
「…うん」
「街中 歩いてると、目眩したり、気持ち悪くなったり…」
「…うん」
「でも それが まさか鬱病だとは思ってなくて、
ずっと普通に生活してて。
人混みは苦手だったけど、学校は大丈夫だったし」
「うん、うん」
「だけど、ある日 突然、駄目に なった。
…雑誌に、載った事が あるんだけど。
それを見た子達に学校で囲まれるように なって…、
その子達は、俺の事を好きで居てくれる子達だから、
そんな子に話し掛けて貰えるのは嬉しかったし、幸せだった筈なんだけど…、
でも急に、人に囲まれてる事が、怖くなった」
「……」
「だから、逃げ出した。
後の事は何も考えてなかったけど…、
″友達″に、『とりあえず病院 行った方が良い』って言われて…。
…しかも、『精神科』って。
だから、学校 辞めてから、この病院 受診して…
今は薬 貰って、通院してるんだ」
「…なるほど、そうだったんですね」
あたしが納得したように頷くと、みちるくんは わざと明るく笑って、言った。
「だから、風邪 引いた時とか、薬の数が すごいんだよ!」
「…そう なんですね 笑」