月に降る雨
「…リア、ちゃん?」
気付いたら、
みちるくんが大きな目で あたしの顔を、覗き込んでた。
「…あ、えーと…ごめんなさい!
あのー、
…いきなり なんですけど…、
みちるくん って、彼女 居るんですか??」
…何か喋らなきゃ と 思っていたら、思わず出てしまった。
彼女さんが居れば、
彼女さんは絶対みちるくんの味方な訳だから…
…なんて考えていた所為で、咄嗟に。
「…彼女は…、居ないんだぁー」
案の定、みちるくんは少し吃驚したみたいで、
一瞬 大きな目を更に見開いたけれど、
それでも笑って、律儀に答えてくれた。
…って、今″居ない″って言った??
「じゃ、じゃあ!
好きな人は…?」
今度は、
好きな人が″女友達″みたいな関係だったら、色々 相談 出来るかも…とか、
告白して″好きな人″から″恋人″に なっちゃえば いいんじゃないか…とか考えて、
そう訊いてみたのだ けれど、
それを聴いた みちるくんは少し、悲しそうな顔を、した。
「…好きな人は、居るよ…」
みちるくんの その言いっぷりが、その方が お亡くなりに なったような、
訊いちゃいけない事を訊いてしまったような雰囲気だったから、
あたしは瞬間、自分を殴りたくなった。
「ごめんなさいっ!
余計な事 言っちゃって…」
「?
ううん、全然 大丈夫だよ」
不思議そうな顔を しながらも、
笑って みちるくんが、言った。