月に降る雨




あたしは どうやら、昔から嫌味を言われたり否定される事が多かった所為か、

自分の事が″居なきゃ良いのに″っていう存在な気がして、ならない。


自分の意思…と言うよりは、

脳に そう刷り込まれちゃってるのかも、しれない。


だから、みちるくんの言ってくれてる事は、

素直に聴けば すごく嬉しい言葉ばかり なのかも しれない けれど、

どうも素直に受け取れない。


逆に みちるくんのネジが抜けてるんじゃないか って、思ってしまう。


みちるくん、ごめんね…。




あたしが心の中で謝っていると、その沈黙が疑問だったらしく、

また不思議そうな みちるくんの大きな目と、視線が ぶつかった。






「リアちゃん…?」




「あ、ごめんなさい!


あたし また、心の中で妄想を…」






「…妄想?」




それを聴いた みちるくんは一瞬、きょとん として、

それから、声を上げて笑い出した。






「…妄想って!!


あはは!


リアちゃんって、やっぱ おもしろいね 笑」




「…そう、でしょうか…笑」






…この みちるくんは、

もしかしたらテンションが上がってるだけの みちるくん…かもしれない。


でも どの みちるくんであれ、楽しそうに笑ってくれてるんだったら いっか…

そう思って、あたしも一緒に笑っていたら、

みちるくんが急に真面目な顔に なって、あたしの名前を呼んだ。





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