月に降る雨
「…あ、そうだ。
かず兄 何か飲むー?
りぃ、飲み物 買って来たいから、
何か飲みたいの あったら、ついでに買って来るよ♪」
最近の かず兄は調子が良くて、
1人に なっても、勝手に自殺しよう と しなくなった。
今日の かず兄も調子が良くて穏やか だから、
あたしが席を外しても大丈夫そう…
…そう思って、声を掛ける。
かず兄は優しく笑って、言った。
「…俺は いいよ。
リアの分だけ…、
好きなの買って来な?」
「うん、ありがとー♡」
あたしは病院が好きだから、
院内を ぶらぶら歩くのも、好き。
特に売店なんて、わくわく する。
かず兄に返事して、あたしは意気揚々と歩き出した。
…って言っても、飲み物を買いに行くだけ だから、
自販機で事足りちゃう けれど…。
精神病棟だから、出会う患者さんには色々な人が居るけれど、
″病院″っていう独特な雰囲気が好きで毎日かず兄の所へ通ってたら、
色々な患者さんにも、慣れて来た。
坂城さんも言ってくれた けれど、
特に年上の患者さんには可愛がって貰えて、
いつの間にか仲良くなった方も、たくさん居る。
「えーと、何に しようかな…」
今日の気分はカフェオレか、ココアかな…?
でも どっちに しよう…
自販機の前で迷っていると、後ろに人の気配を感じた。