月に降る雨
…そこまで考えると、かず兄が もう1度 同じ台詞を繰り返した。
「リアー、ほんとに大丈夫なの?」
…大丈夫じゃない かもしれない。笑
無意識で かず兄の部屋まで来てる時点で、もう駄目だよね。
しかも、何でも ない って分かってるのに、
かず兄の部屋に凛 先輩が居るのを見ただけで心が痛くなる なんて…、
きっと もう、重傷です…。
でも、貴も前に言っていた けれど、
″駄目だ″と思っても、素直に助けを求められるような性格じゃない あたしは、
かず兄にも″大丈夫じゃない″なんて、とても言えなくて、
そのまま言葉を返せずに押し黙った。
「…具合 悪いなら、無理しないで帰った方が いいよ」
そんな あたしを見て、凛 先輩が声を掛けてくれた。
でも、普通に聴けば優しい凛 先輩の言葉も、
それに よって かず兄の心の中の凛 先輩の評価が上がるんじゃないか って思うと怖くて、
それに そんな事を考えてしまう、自分の汚い思考回路にも嫌気が差して、
あたしは無理矢理、笑った。
「ぜ、全然 大丈夫っす!」
「そう?
なら良いんだけど…」
凛 先輩は不思議そうな顔を しながらも そう言って、かず兄を見た。
「…ま、リアが そう言うなら、いいんじゃない?」
かず兄も、納得 出来てない様子では あったけれど、
半分 諦めたように、そう言った。