月に降る雨
「……」
「…みちるくん って、だ~れ~?」
吃驚して固まる あたしに、貴は笑って続ける。
「えっと…と、友達…?」
「…何で疑問系だよ 笑」
焦る あたしの答えに、貴は満面の笑みだった けれど、
その顔は なぜか少し困っているようにも、見えた。
正直みちるくんが友達か どうか、もはや よく分からなかったのだけれど…、
″友達″と答えて、何か貴が困る事でも あるのだろうか と、
あたしは一瞬、不安に なった。
そんな あたしを見て、
貴は少し ばつの悪そうな顔を すると、小さく付け加えた。
「リアが香澄 以外の男の名前 出すなんて、珍しいからさ…
ちょっとビビっちゃって 笑」
半分 笑いながら、何て事 無いように、言う。
「…そっか」
そう言われてみたら…
あたしも、貴が急に知らない女の子の名前 出したら吃驚するもんな…。
きっと、貴が今 言った言葉の意味も、
それと同じなのだろう。
…そう思って、
あたしは それ以上 深く考える事を やめた。