月に降る雨
…″ありがとう″って、
この前 送ってくれた時も言いそびれちゃった けれど…
今日も また、言いそびれたなぁ。
…って言うか そもそも、
言った事あったっけ…?笑
正直 貴には いつも いい意味で自然体で話せていたから、
悪い言い方だけれど、″ありがとう″も無意識に言っていたんだと思う。
その度に ちゃんと言っていたか なんて、
考えても思い出せなかった。
でも…。
仮に毎回 言ってたと しても、お礼は何度 言ったって減るものじゃないし…
いいよね。
日常の ちょっとした事でも、
思い出した時に…全部まとめて。
―…よし!―
「…お待たせ。
何まだ難しい顔してんの?笑」
「わぁ!
…あれ、貴 早くない?」
気合いを入れた直後に貴の声がして、
丁度良すぎるタイミングに、思わず変な声が漏れた。
確かに さっき急いでくれてるっぽかった けれど…
それにしても早い。
まだ心の準備が…。
「あー、
ちょっと知り合い…てか さっき言った″和ちゃん″が来ててね…」
そんな あたしに、
貴は考えるように目線を上に向けながら言った。
「何か…、香澄と2人で話したそう だったから…、
席 外した方が いいような雰囲気に なってて…。
…それで、さ」
「そ、そうだったんだ…」