4月1日の偶然少年A。
「あの、えっと...勝手に入ってごめんなさい。
私は柊琴葉(ひいらぎことは)です。」
少女ー琴葉はぺこりとお辞儀をした。
肩にかかっていた黒髪がふわりと垂れる。
そして琴葉はばっと顔をあげるときらきらした目でこちらを見た。
「あなたって、瀬川空さんですよね?」
俺はとくに驚くでもなく頷いた。
ニュースに映っているのでも見たのだろう。
けれど今、そのことに関しては何も考えたくなかった。
「悪いけど、帰ってくれるか?
どうせ事故のことを聞きに来たんだろ、お前も」
俺は吐き捨てるようにそう言い、琴葉を睨んだ。
すると琴葉は少しうつむいたが、すぐに真剣な顔に戻り、
こちらに予想外の質問を投げかけてきた。
「最近、おかしな現象に見舞われてないですか?」
普通、こんな質問をされたら何を言ってるんだ?と
疑問に思うはずだが、空ははっとする。
その様子に琴葉はぱっと顔を輝かせた。
「ついに見つけたのかも...!」
そしてそんなことを呟いた。
どういうことだ?
コイツは何か知ってるのか?