4月1日の偶然少年A。
俺は気がつくと琴葉の肩につかみかかって、
ゆさゆさと揺すりながら問いただしていた。
「お前、何か知ってるのか!?」
急な空の行動に驚き、琴葉は目をまんまるくして
おどおどと視線を泳がせている。
それでも俺はこのわけのわからない状況から逃れようと必死だった。
「せ、説明するから落ち着いてくださいっ...」
琴葉はようやくそう言い。
俺ははっとして琴葉の肩を離して後ずさった。
「...悪い」
「いえ、大丈夫です」
琴葉は落ち着きを取り戻し微笑むと
うつむく自分にそう言ってきた。
そして一息おくと、琴葉はまた真剣な顔をする。
「瀬川さんに今起こっていること、教えてもらえますか?」
空は少し体の震えを感じながらも、
今、自分の身におこっていることを彼女に話した。
通常だときっと頭がおかしいと思われるような内容だ。
けれど琴葉は真剣にさいごまで話をきいていた。
そして。
「やっぱり!これはエイプリルフールの呪いなんだ...!」
そう呟いて目を輝かせた。
まっくろで丸い琴葉の目がきらきらとし、
空は少し気が抜けてため息をもらす。
「それ、何?教えてくれないか?」
空がそう、呟くようにいうと
琴葉は肩からさげた大きなカバンから分厚い本をとりだした。
「これを見てください!読めばわかります」
俺は言われるがままにその本を開いた。