4月1日の偶然少年A。
空は部屋でただぼんやりとしていた。
まだ帰るつもりのないらしい琴葉は横で
いつの間にかいれたコーヒーを飲んでいる。
ときおりこちらをちらちら見てくるが混乱していて
返事をして何かいう気力もなかった。
そんなとき。
「あの、瀬川さん…」
ついに思い切ったのか琴葉が声をかけてきた。
空はちらりと琴葉を見る。
何を言われたって状況は変わらないんだろう。
琴葉は視線だけを向けた俺に困惑しながらも口を開く。
「呪い、解いてみたくありませんか?」
呪いを…とく?
俺は目を見開いて琴葉を見た。
「そんなことできるのか?知ってるのか?」
すると琴葉は少し困ったように苦笑いした。
「いえ…。でもヒントはあるんです」
「…教えてくれないか?俺は…」
そこまで言って口をつぐんだ。
俺は、はやくこの世からー…
琴葉もこの先の言葉を察したのか暗い顔をした。
「死ぬ、なんて考えないでください…」
何言ってるんだこの女は?
空はあざ笑うように口元を歪める。
「俺はこの世から早く消えたいんだよ。だから呪いを解く。」
そう俺が言い放つと琴葉は沈んだ顔をした。
でも、そんなことはどうだっていい。
「呪いを解くヒントは?何なんだよ?」