4月1日の偶然少年A。
焦げ臭い風が頬を撫でて、空は覚ました。
ゆっくりと目を開くとガラクタの山が目に入った。
一瞬それが何なのかわからず、呆然とする。
(俺はここで何をしてるんだ…?)
確か、電車に乗って食料を買いに出かけたはずだ。
そこで空ははっと思い出す。
そうだ、電車が突然揺れて体がなぎ倒されてー…
空は普段働かせない頭で瞬く間にすべてを理解した。
その途端まわりの状況と自分の状況も理解し、
体を動かそうとぐっと力を混めていた。
「ー…っうあ!」
だけれど、足に激痛が走り空はすぐにうずくまる。
今まで気がつかなくて、麻痺していたのかもしれない。
冷や汗がつたうのを無視して痛む右足を見ると、
倒れた電車に押し潰され、血まみれになっているのが見えた。
それどころか体のいたるところにガラスの破片が刺さり
まったく体が動かせなくなっている。
空はくらくらする頭を力なく地面につけ、目だけであたりを見た。
さっきは気がつかなかったが倒れた電車のガラクタの山の中に死んでいるのか
生きているのかわからないような人がころがり爆発でもしたのか、燃えた何かが目についた。
だんだん、意識が薄れていく。
これで俺もついに死ねるー…
サヨナラ大嫌いな世界。
俺は冷たくなる自分の体温を感じながら
薄れる意識にしたがって目を閉じた。