孤高の魚
彼女のために合鍵を作る約束もして、僕の学校へ向かう足取りは心なしかいつもより軽かった。
気持ちがスッキリとし、同時に何かくすぐったい感情が僕の中で疼き出していた。
朝から健康的にしっかり食べたという理由もあるし、濃いめのコーヒーも効いたのだろう。
そうして何より野中七海の存在は、僕の中で徐々に膨らんでいく様だった。
その気持ちは僕の最も繊細な部分に蟠り、いつまでもサワサワと音を立てた。
昨日会ったばかりのはずなのに、何故だかそんな気がしなかった。
僕と野中七海の出会いはやはりあのブルーの手紙であり、あの時から僕のこの不可思議な気持ちは始まっていたに違いない。
けれども今はまだ、この気持ちに何か名前をつけるには、あまりにも儚すぎるような気がした。