孤高の魚
あの電話の後、僕と尚子は時間通りに新宿駅で落ち合った。
正確に言えば尚子が5分遅刻して来たけれど、遅刻5分は尚子にしては上出来だ。
僕の顔を見るなり尚子は、
『お腹すいた!』
そう言ってズカズカと歩いて、チェーンのイタリアン店に入ってしまった。
仕方なく僕も、尚子の後を付いて入る。
尚子はナスとベーコンのトマトソースパスタ、生ハムのサラダ、クリームソーダを注文した。
僕は、今朝からパンを一枚食べただけだったけれど、とりあえずホットコーヒーを頼んだ。