孤高の魚
「……生きているかどうかは、わからないです……でも」
僕は言葉を選びながら、けれどもその質問には、できるだけ正直に答える。
「歩太がいつかここに戻ってくるとは……僕には思えません」
そんな僕の言葉を黙って聞いてから、工藤さんは、うむ、と小さく頷いた。
「それは歩夢、お前の「希望」だな?
お前は歩太に戻って来てほしくない。ナナミちゃんを独り占めしたい」
「いや、そんな。僕は、そこまでは……」
「いや、まあいい。聞け」
工藤さんの目は何かを分析するように、好奇心で鋭く光っている。
そんな目付きが、やっぱりどこか、僕を緊張させる。