孤高の魚
けれども尚子のそれは、僕には何だか異常にも見えた。
ただの寂しがりやと言うには、尚子の場合、ちょっと病的だった。

彼氏が出張などで急に不在になり、行く宛のなくなった尚子を何度か深夜に招き入れた事もあった。
そんな時、尚子はいつも、僕の前で大粒の涙を流してこう言った。

『お願い、一人にしないで』

と。


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