孤高の魚
………
……
そうしてまた、沈黙がくる。
彼女はどこを見ているのだろう?
テーブルの上だろうか?
冷めてしまった鍋の模様だろうか?
定期的に口元に運ばれていた煙草も、彼女視線が曖昧になると同時に、指の間から動かなくなってしまっている。
僕は、このまま彼女の思考だけがまたどこかへ行ってしまう様な、そんな予感がした。
「でも今は、ここにいる。
歩太のいた部屋に」
僕は、わざと少し強い口調でそう言った。
彼女の視線が、フワリと僕の上に止まる。