孤高の魚



「今の君は、自由だよ。
僕と一緒に、仙台へ行く事だってできる。
正常だとか異常だとか、おかしいとか、そんな事はもう、どうでもいい事だよ」


彼女へと向けられた僕の言葉は、強い口調を伴って投げ掛けられた。
自分でも意外なほど、スルスルと言葉が出てくるのだから、驚く。

まるで、今まで閉ざされていた回路が一気に開ききった様に、僕の口から溢れてくる言葉達。


「第一、君はおかしくなんかないよ。
ちょっと、疲れているだけなんだ。
それに、少し神経が過敏になってる。
それだけなんだよ、きっと」


……喉が渇く。
僕は緑茶を一口、喉に流し込んだ。

彼女の視線は、確実に僕を捉えている。



< 265 / 498 >

この作品をシェア

pagetop