孤高の魚
………
レストランで食事をしながら、僕達は仙台行きについて話し合った。
コートを脱いだ彼女は、オフホワイトのニットワンピース姿。
飾りのないシンプルなワンピースが、彼女にはよく似合う。
「でもね、アユニ。ママは許してくれるかしら?
そんなに何日も、二人でお休みをもらうこと」
そう言って、ワンピースの袖口が汚れない様に気を使いながら、彼女がサラダにかけるための塩を取る。
彼女は、サラダにはいつも少量の塩だけなのだ。
僕はというと、たっぷりのオリーブオイルドレッシングをかける。
「うん……お正月をうまく利用しよう。
毎年、さくらは31日から3日まで休む。
ママが、離れた孫に会いに行くんだよ。
小百合さんにも、子供さんがいるしね」
「そうね。それなら、ママにも負担はかからないわね。
……アユニ、ワインも飲む?」
歩太が好んで飲んでいたという白ワインを、彼女はハーフボトルで注文していた。
僕はオーガニックビールを飲んでいる。
ここのビールは、工藤さんと来た時にはわからなかったけれど、苦味が強く僕好みの味だった。