孤高の魚
「……わかってたの、わたし。
本当は多分、全部、わかってたのよ。
自分の罪のことも。
なのに……知らないフリをしてた。
だって、もう何もかもが一気に崩れ出して、どうにもならなかったんだもの。
わたしにも、止められなかったの。
本当よ?
……本当なの」
野中七海が、静かに暴走を始めた。
彼女の言葉は、掴める様で掴めないまま、僕の目の前を通りすぎて行く。
何がそんなに彼女を不安にさせるのだろう。
何がそんなに彼女を追い立てるのか。
………
『罪』という言葉を、彼女はいつも自分から逃さない。