孤高の魚



………


感情が言葉になって、すぐにでも喉元から溢れ出しそうだった。

それを抑える様に、僕は膝の上でギュッと拳を握りしめる。


今ここで、男の美徳を振りかざすなど、あまりにも情けないではないか。
彼女へと向ける、言葉を借りた自慰行為だ。
嫉妬に過ぎない。


……過去は、過去だ。

それがどんなに理不尽なものであるにしろ、僕が口出し出来る事は、何もない。


………


僕は深く息を吐き、呼吸を整える。

体内が熱く、反対に背中は猛烈に冷えていて、小さく身震いした。
腕には、鳥肌が立っている。



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