孤高の魚
野中七海は呼吸を置く。
緊張のせいか、僕は喉が乾いていた。
………
彼女の……罪の告白。
その想像以上の重みに、自分がこれ以上耐えられるのか、僕は正直自信がなかった。
項垂れると、小さな溜め息が漏れる。
何か飲み物が欲しかったけれど、まるで金縛りにでもあってしまったかの様に立ち上がる事ができなかった。
そんな僕を置き去りにして、彼女の告白は続く。
「それからはまるで、あの赤い海に沈んでいるような日々だったわ」
彼女の身体もまた、ピッタリと椅子に付いたまま動かなかった。
もはや、動かせるという能力すら、忘れてしまっているのかもしれない。