孤高の魚




「……一咲の事、アユの事……パパの事、自分の事……

わたしを作り上げていたはずのピースは、そこらじゅうに赤に紛れてバラバラに散らかってしまったの。
まるでカルタみたいに。

それらはただじっと、わたしが答え合わせをするのを待っていたわ。
だけどわたしには、拾い上げる術がなかった。

……どうしたらいいのか、わからなかったの」


彼女の声は芯が通っているのに、僅かに震えているようにも聞こえた。


………


彼女を作り上げているパーツは、だいたいが極端な二面性を持っているようだ。


「……アユが再びわたしの元に現れるまで、わたしは、幻想的な赤い海と、チカリチカリ光る光の中に全てを委ねて、ただ呼吸をするだけの『モノ』になっていたのよ」



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