孤高の魚



寒さが足の先から骨を伝って、全身に滲む様な感覚を僕の脳は捉えていた。

もしかしたら外では、やっぱり雪が降り出しているのかもしれない。


………


それからしばらくの間、彼女の言葉は途切れていた。
寒さのせいもあるかもしれないが、顔色がかなり悪い。
だいぶ青みがかってきている。


「……寒い?」


そんな僕の問いかけなど、彼女には届かないだろうか。
虚ろな視点は動かない。
表情すら固まったままで、肩だけが小刻みに震えている。


僕は重い腰を上げた。
尚子のために用意しておいたフリースの膝掛けを手に取る。


「少し、休んだ方がいい」


そうだ。
少し目を閉じて、横になった方がいいかもしれない。
僕だってそうしたいくらいだ。

彼女の罪の告白は、あまりにも重い。

聞いている方も辛いが、話す方はもっと辛いだろう。
また、発作が起きるかもしれない。


僕は静かに彼女の背後に回った。
そうしてそっと、膝掛けを肩にかける。

僕の指が触れると、ビクリ、と彼女の細い肩が反応した。
咄嗟に手を退こうとすると、彼女の恐ろしく冷えた指が、ギュッと僕の指を掴んだ。



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