孤高の魚
それは、一種の感のようなものだった。
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歩太の柔らかい笑顔に僕はひどく好感を持っていたし、歩太もまた、僕の不器用でぎこちない笑顔に、安堵を感じてくれているようでもあった。
その証拠に、飲み干したノンアルコールビールのおかわりには、正真正銘の生ビールが、同じグラスに注がれて出てきたのだ。
僕はそれを一口飲んでにんまりとし、とっさに歩太の顔を見た、歩太は僕と視線を合わせると、口元にそっと人差し指を当てたのだ。
その時の歩太の仕草が、何だか秘密めいていて、すごくよかった。
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それから僕は、東京滞在中の間、「COM」へはほぼ毎日通った。
柳橋さんを始め、「COM」の常連さんはみんな気さくで優しかったし、歩太はほとんど毎日出勤していた。
歩太の他にも何人かスタッフがいたけれども、彼らもまた、まあまあ感じがよかった。