孤高の魚
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大切な人を失ってしまっても、僕達はここで生きていかなければならない。
彼らが残していったものを、出来るだけ鮮明に抱えながら。
そうしてそれらを、いつか、自分らしさに変えていくのだ。
それは、失った人に対する敬意なのだと、僕は思う。
僕達がこうして生きている事が、彼らが生きた証でもあるのだから。
そうしてもちろん……
これから生まれてくるであろう、命のためにも。
………
……
僕は手にしてしたブルーの手紙を、指先から静かに落とした。
それはひらり、ひらりと僅かに舞って……
………
ゴミ袋の中で、カサリ、と、小さな乾いた音を立てた。