孤高の魚
そうして、僕と歩太の奇妙な共同生活は始まった。
案外、一緒に暮らしていたこの二年近く、僕達はうまくいっていたように思う。
歩太はコーヒーと青野菜を好み、肉と生魚を嫌った。
睡眠時間はひどく短く、平均的には三時間くらいしか取っていなかったように思う。
フラリと部屋を出て行って、三日やそこら、帰らなかった事もある。
来客もやたらに多かった。
大半が、チャラチャラした女の子達だったけれど。
………
僕は、「COM」で知り合った常連さんの、「さくら」とゆうスナックのママに気に入られ、そこでボーイとして働き始めた。
ママやチーママの小百合さんを始め、他のスタッフやお客さん達にも恵まれて働きやすく、お給料も悪くない。
店が終わればママに誘われて、ちょくちょく「COM」へも飲みに行った。
………
とにかく、今まで忙しい毎日だった。
僕は歩太を干渉するどころか、自分の身の回りの事で必死だった。
大学の授業も、田舎の両親の手前、一つでも落とす訳にはいかなかったのだ。