シュガー&スパイス
大通りに出ると、たくさんの車が行きかっていた。
腕時計に視線を落とす。
あと10分ほどで電車の時間だ。
それを確認して、あたしは少しだけ歩く速度を速めた。
通勤ラッシュの電車の中は、もうすでにたくさんの人で溢れかえっていた。
うわー……。
なんて、うんざりするのもいつものこと。
あたしは大きく息を吸い込むと、その人の群れに飛び込んだ。
会社があるのは、一駅先って言っても、かれこれ10分はこの狭い箱の中でもみくちゃにされなくちゃいけなかった。
だから、せっかくキレイにまとめた髪も、崩れてしまうのは日常茶飯事。
そして……。
「……」
おしりの辺りに違和感があるのも日常茶飯事。