シュガー&スパイス
「ん? どした?」
ゆっくり立ち止ってこちらを振り返る千秋。
コトリと首をかしげて、目を細めた。
……うッ。
えーと、えーと。
「……千秋ってなんで美容師になったの?」
「え?」
うわ。
いきなりすぎたかな。
眉間にしわを寄せた千秋に、思わずたじろいてしまう。
「……なんでって、髪いじんの好きだから?」
「なんで疑問形? ……こんなに遅くまで仕事してるなんてすっごく好きなんだね」
「まあ、それとこれとは別だけど」
「??」
不思議そうな顔をしたあたしを見て、千秋はなぜかハハって笑うと「ほら、行こ」ってさっさと歩きだした。