シュガー&スパイス


「な、何よ……いきなり」

「……うんん。気になっただけ」



そう言って、倫子は何食わぬ顔でサラダを頬ばった。


……。

び、びっくりした。


前に倫子に占うのやめてほしいって言ってから、とくになにもなかったから余計。

英司との事、倫子に言っておこうかな……。



あれから約2ヵ月。
課も階も違うから、全然会ってないし、連絡もとってない。

最近ようやく混乱してた頭の中も落ち着いてきて、英司と話してみようと思ってた。



その間に、連絡くれないかなーとか……。
思ったりもしたけど、でもその淡い期待は見事に打ち砕かれて。

つらかったけど、時間ってのは失恋にきくんだな……。



そんな事を思いながら、ツンツンとサラダをつつく。



「……あのね、倫子」



重たい口を開く。

……あたし……あたし……英司と……。


あ、やば。

口にするって、難しいみたい。




「……あの、ね――」

「大丈夫だよ」

「え?」



あたしの言葉を遮るように言った倫子。

ハッとして顔をあげると、手元に視線を落したままの倫子がいて。



「わかってる。 だから言わないで」

「……倫子……」




そう言ってあたしを見ると、少しだけ笑った。
そんな彼女に、もう平気だと思ってたのに、涙が出そうになって。


喉の奥がキュッと苦しくなった。


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