シュガー&スパイス
『佐伯さんと一緒にお仕事出来て、あたし本当に勉強になりました』
はにかんでそう言ったあたし。
顔を上げると、英司はジッとあたしを見つめていて。
「俺が頼んだんだ。 君と、もっと近づきたくて」
「……え?」
驚いた……。
まさか、英司がそんなふうに思ってくれてたなんて。
それからすぐに、あたしたちの交際はスタートしたんだ。
付き合って半年。
英司はすごく優しい。
背も高くて、かっこよくて。
5歳年上の、あたしの自慢の彼氏。
目じりにシワが出来る笑った顔が
すごく好き。
伏し目がちに新聞読んだりするのも好き。
缶コーヒーは、絶対微糖なことも、実はメガネなのも。
辛い物は苦手なのも、大好き。
丁寧なキスも、ベッドの中の甘ったるい英司の吐息も。
その後腕枕で髪を撫でてくれるのも
全部好きなんだ。
あたしの体は、きっともう英司でいっぱい。
他の誰も、あたし達の間に入る隙間なんて、絶対ないよ。
――……絶対。