シュガー&スパイス
布団に横になって、どれくらいたつかな……。
「……」
寝れない……。
千秋があたしを変に意識させるから、全然寝れなくなっちゃったじゃない!
寝返りもうてなくて、千秋に背中を向けたまま金縛りにあったみたいに固まっていた。
ザザーン
ザザーン
聞こえる波の音。
ひたすらそれに耳をすませた。
「……」
ダメ。
ぜんっぜんダメ。
ちょっと頭冷やそう……。
そう思って薄い夏布団をもそもそはいで、体を起こした。
「寝れないの?」
「……あ、ごめん、起しちゃった?」
び、びっくりした……。
見ると、腕枕をした千秋と目が合った。
「うんん、起きてたからヘーキ」
「……」
起きてたんだ……。
うう……。
気まずいよぉ……。
さっさと立ち上がってこの部屋を出ればいいのに、それもできなくなってしまった。
なにか、なにか会話……。
「……あの、今日はほんとにありがとう」
「なに、突然」
改まったあたしを、千秋は不思議そうに眺めた。