シュガー&スパイス
誰もが一度は耳にした事がある、有名な超高級ホテル。
その広いエントランスホールには、すでにたくさんの人がいるようだった。
あたしと千秋を乗せた車も、玄関横付けで停まると、すぐさまホテルマンが扉を開ける。
えっ
え、降りろって事?
わけがわからず、後部座席に乗ったまま戸惑っていると
千秋が「ほら」とあたしの背中を促した。
あたし達が降りると、すぐに車は走りだし、また次の車が停まる。
そして、同じように、ホテルマンがドアを開け、美しく着飾った女の人と、ビシッとスーツを決め込んだ男の人が出てきた。
それを横目に、慌てて先に行く千秋を追いかけた。
「ね、ねえ!ここで一体なにがあるの?」
「え? ああ……親父の会社の創立記念パーティ?」
……はあああ!?
千秋は一瞬考えるように首を捻った後、あたしに視線を落とした。
「そ、創立記念って……ぱ、パーティ?なんで……」
あたし、なんで連れてこられてるの?
全然まったく関係ないよねっ
……ないない!どう考えても関係ないっ!
ハッと周りを見渡すと、見るからにセレブな人達で溢れ返っていた。
うわーん、すっごく場違いなんですけどー!