シュガー&スパイス



――――――――…
――――――…




会場内はクラシックが流れ、落ち着いた雰囲気で。
大きなフロアの真ん中には、これまた高級そうなシャンデリアがひと際存在感を放っていた。


ビュッフェ式になっていて、ところ狭しとフランス料理が並んでいた。



うわわ。
すっごく美味しそう……。

あそこにあるのって、キャビアだよね?
しかも、零れるほど!
すご~い……。


でも……。
なにがさらにすごいって……。
ここに来てる人達、そんな料理にあんまり関心ないみたい。

みんなグラス片手に、シャンパンかワインを飲んでる。


あたし……食べたい。


他の人と同じようにグラスと持って、思わずゴクリと生唾を飲み込んだ。



千秋はぁー……。



チラリ



さっきから、壁にもたれたまま、興味なさそうに腕組みをしてるだけ。



つまんない……。

せっかく来たんだから食べればいいのに。



食べる……。
食べる……。




「あっ!」




い、今……今何時?

慌ててバッグから携帯を取り出して時間を確認する。


えーーっと。



「5時半っ!?」


ひええええ!


英司との待ち合わせに絶対間に合わないじゃん!

このパーティっていつまでやるのかな……。

英司にメールしなきゃ……。



「ち、千秋……あの……」



不機嫌そうな千秋に近づき、こっそり声をかける。

と、そこへ。



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