シュガー&スパイス

ドキン


どうしよう……。

あの夜から6日。
実は、あれから千秋とは顔合わせてないんだよね……。


嫌でも思い出す。

教会で、抱きしめられて……耳に………。


ここまで思って、ブルブルと首を振った。



ダメダメ!
あれはー……きっと千秋の気の迷い!

あたしと同じで、雰囲気に酔ったに違いない。


だから、意識しちゃだめなんだって。


自分に言い聞かせて、また前を行く千秋を見た。






なんか変。

やたらフラフラしてる?

調子悪いのかな……。





「ちあ……」


あたしが声をかける前に、偶然千秋も振り返った。
ふんわりセットされてる髪が揺れて、長い前髪の向こう側で、切れ長の瞳が瞬いた。



わっ

突然目が合って、さらにドキっと心臓が跳ねる。


ああ、もう。
調子狂うよお。

ドギマギしてるのがばれないように、笑顔を向けた。



……と、その時だった。




「菜帆!」



いきなりクイッと腕をひかれ、そのせいでバランスを崩しそうになった。



え?



振り向くと、そこには。



「……今、帰り?」



そう言って、眉を下げて笑う彼がいた。



……英司……。


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