シュガー&スパイス


「菜帆」


熱で顔がほんのり赤くなった千秋に上目づかいで見上げられ、不覚にも胸がキューンとなる。


「……あんがとね」



そう言った千秋は、散々お粥をフーってしてからパクッとそれを頬ばった。



「アチ」


ふふ、猫舌なのかな……。
なんかかわいい……。

そんな事を考えながら、あたしは自然と彼のその柔らかな髪に触れていた。


「よしよし。
こうゆう時は、甘えてもいいんだからね?」

「……ブっ」


お椀によそってあったお粥をペロリとたいらげて、用意してあった薬を飲み込んだ千秋が、なぜかいきなりむせ込んだ。


えっ
なに?


「だ、大丈夫?気持ち悪い?」

慌ててベッドに手をついて、むせ込むその背中をさすりながらい千秋の顔を覗き込んだ。
千秋は口元に手をやって、深く息を吐く。

それから落ち着いたのか、チラッとあたしを見上げた。



「……あのさ」

「ん? なあに?」



あたしを見つめる、彼の瞳がユラユラ揺れる。

たぶん熱が上がってるんだと思うけど
そのせいで少し潤んだ瞳がやたら色っぽい。



震えるように瞬きをして、千秋はその口を開いた。




「菜帆は、俺の事どう思ってんの?」

「……」



……えっ!!?

なにそれっ

どう思ってるって……え?


固まっていると、まるで拗ねたように唇を尖らせて見せた。


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