シュガー&スパイス
どぎまぎしてるあたしなんかお構いなしで、熱に浮かされた千秋の瞳はさらにトロンとしてる。
ドックン
ドックン
さっきから、うるさいくらいに鼓膜を叩くその音。
まるで全身が心臓になっちゃったみたいだ。
「ダチ以下?以上?……なあ、どうなの?」
「う……」
切ない声。
掠れたその声に、あたしまで苦しくて、ウルウルしちゃう。
前髪が触れてくすぐったい。
鼻がこすれそうになって、千秋がそっと顔を傾けた。
唇にかかる吐息に、目まいがしそう……。
「答えろよ……俺って、以上?」
頷いたら、今度こそキスされちゃう?
でも、でももう無理っ!
「うん……」
以下じゃない。
……嘘、つきたくない。
決死の覚悟で声を絞り出すと
緊張に耐えきれなくて、ギュッと目を閉じた。
「……………」
……ん?
キスされちゃうと思ってたのに、一向に何も起こらない。
思い切って、パチッと目を開けると……。