シュガー&スパイス
ベッドに寝転がったまま、じっとあたしを見上げる千秋。
絡み合う視線。
伏し目がちなその瞳が揺れて、
それと一緒にキュッと掴まれた手に力が込められた。
「帰んないで?ここにいて」
まるで
叱られた子供が、母親に甘えるように
その表情を崩して、千秋はあたしを見上げてる。
そんな顔するのは、熱のせいなの?
鎖骨の奥がぎゅってなる。
あたしはふにゃふにゃと崩れるように、その場に座り込んだ。
ペタンと座ると、フローリングがひんやりして気持ちいい。
あたしの手を繋いだままの千秋は
くるんと寝返りをうって、うつ伏せになった。
辛そうにはぁっと息をはくと、気だるそうに閉じていた瞼を持ち上げた。
「……もし」
くぐもった声がする。
よく聞こえなくて
ん?とあたしが身を乗り出すと、千秋はさらにその手を自分の方へ引き寄せた。