シュガー&スパイス
ひんやりとした感触。
「…………」
視界いっぱいに、英司の顔。
そして、あっという間に唇を奪われた。
高層ビルのエレベーターは、ガラス張りになっていて。
あたしはそこに押し込まれるように、英司に唇を塞がれていた。
耳の後ろから支えられるように、上を向かされて。
熱っぽい英司の唇が、あたしの全てを包み込んじゃうみたいな、そんな甘いキス。
「……ん」
……ダメだよ。
体がとろけちゃいそうになる。
勝手に英司の首に手を回して、応えそうになる。
だけど、ここが会社って事でなんとか理性を保ってる感じ。
「ん……ちょ……、英司」
なんとか2人の間に隙間をつくって、その胸板を押しやった。
見上げると、長いまつ毛の奥の熱っぽい視線があたしを捕らえて離さない。
……ドキン
ああ、やっぱりダメだ……。
その瞬間、あたしの思考回路も停止。
英司のペースにはまってしまう。