シュガー&スパイス






「乾杯!」


一番星が瞬く頃。

その掛け声とともに、あちこちでグラスの合わさる音がする。
いったいこの人たちはどこから集まって来たのか。
そう思うくらい、老若男女色々な人で溢れていた。

それでも窮屈に感じないのは、それ以上にこの別荘が広いからだ。

それぞれの手にシャンパンやワインが注がれて、見るからにセレブリティな人たちが静かにこの場を楽しんでいた。


……。


バーベキュー……。

夏、海、BBQと言えばさ……豪快に鉄板でお肉とかジュージュー焼いちゃうんじゃなかった?
〆に焼きそばやっちゃうアレじゃないの?

グラスにキンキンに冷えたビールを持ったまま、目の前の光景をただ茫然と眺める。

高台には数人のシェフらしき人。
彼らは大理石をあしらった鉄板で、分厚いお肉を焼いていた。

それはバーベキューと言うか、どこかのレストランの高級フレンチだ。

集まってる人達も、ジーンズ姿は見当たらない。
前に千秋に連れて行かれたパーティを思い出さずにいられない。


……ま、いいけど。

あたしも小さくため息をついて、シュワシュワと美味しそうなビールを口に含んだ。


「んぐ、んぐ……ぷはぁ!あー、んまっ」


やっぱビールサイコー!
ビールはビールだな。ってつくづく思っていると、いきなり誰かが吹き出した。



「ぷはっ」




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