シュガー&スパイス
見ると、隣で同じように片手にビールを持った千秋がおかしそうに笑っていた。
……む。
「な、なにがおかしいの?」
ちょっとオヤジ臭かったかな。
見られていたのかと恥ずかしくなる。
「いや、菜帆のビールだけめちゃ美味そうだなーって」
そう言って、無邪気に笑う。
「……どういう意味よ」
唇を尖らせて顔を背けたあたしに、さらにその視線を合わせると千秋は目を細めた。
真っ黒な髪が、視界に入り込む。
シャワーを浴びたのか、いつもセットされているはずの髪が彼の動きに合わせてサラリと流れた。
ドキンと胸が一際高鳴って、目を逸らす。
クスって笑う気配がして千秋はグラスを口に運ぶ。
「その服かわいいね」
「え?」
唐突にそんなことを言われ、キョトンと顔を上げた。
にっこりと微笑まれ、ボボボッと頬が火照る。
そうかな?
これ、あたしも気に入ってるんだ。
デザインがハイウェストで、足も長く見えるんだよね。
サテン生地でサラサラしてるから、気持ちいいんだ。
えへへって笑ったあたしに、千秋はその顔を寄せる。
ふって耳に少しだけアルコールの匂いと共に千秋の吐息がかかってギョッとした。
「そんな短いスカートはいて、俺にどうして欲しいの?」
えっ