シュガー&スパイス
恐る恐る振り返ると……。
「うふふ。見たわよぉ」
「り、倫子……」
片手にワイングラス、もう片方の手にジューシーなお肉を持っている。
すでに頬がピンク色に染まっている倫子は上機嫌で、自分の肩をグイッとあたしに押し当てた。
「千秋くん、すっごい独占欲ね~」
「は?」
ど、独占欲?
いったいその辺でそうなったの?
あたしの空になったグラスと自分の物を交換しながら言う。
「だってぇ、さっきのセリフは他の男に気をつけろって意味でしょ?心配なんだよ、菜帆の事。でも回りくどいよね~。素直に言えばいいのに」
「え……?」
心配とかじゃなくて、ただあたしをからかっただけでしょ?
「菜帆がそんなふうに、無防備に生足さらしちゃってるからじゃん?」
「さ、さらすって……。別にこれ今日初めて穿いたってわけじゃ」
「今、この時に穿いてるのが問題なのよ。彼にとっては」
?
よくわからない……。
倫子に貰ったワイングラスにそっと口をつけた。
「わ、おいしいシャンパン」
「ね?そうでしょ、それ高級みたい。この際だから遠慮なく貰おうね」
ニコニコと楽しそうに言う倫子に笑顔で答えて、視線を落とした。
せっかく沖縄に来てるんだもん。
リゾートっぽく、足くらいだしたいよ。
うー……ん……。
千秋が……心配?
あたしが気を付けるべき相手は千秋自身だと思う。
さっきの挑発的な、千秋の視線を思い出してまた勝手に顔がアツくなった。