シュガー&スパイス


白いカッターシャツ。
そこから伸びる長い首。
その先にのっかるこれまた細長い顔。

清潔感と高級感に溢れるその男は、真上からあたしを見下ろして、にっこりと微笑んだ。


「それ、ルイロデレールのクリスタルだね」

「へ?」

「僕も好きなんだ」

「は、はあ……」


そんなことを言いながらその男は図々しくも、あたしの隣を陣取った。


その手には、あたしと同じようなシャンパンが握られている。
しかも瓶で。

「どうぞ」って目配せした男はその瞳をスッと細めた。
慌てて開いたグラスを差し出す。

キレイな色のシャンパンが、トクトクトクって注がれていく。


「あ、ありがとうございます」


小さく頭を下げてそれを口に運ぶ。
その瞬間弾けるようなブドウの香りと蜂蜜の甘みが広がっていく。


はあ……美味しぃ

なんてうっとりしてると、男がクスリと笑った。


「君、名前は?僕はサトシ」

「……あ、菜帆です」

「菜帆ちゃんか。可愛いね。ね、これからちょっと僕と抜けない?」


は?

パチッと目が覚める。

瞬きを繰り返すあたしの前に、男はすっくと立ちはだかると「行こ」って顎をクイッと持ち上げた。


え? え、なんで?

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